12ア01「らいむらいと」
<らいむらいと>1974年12月20日発売
甲斐バンドのデビューアルバム「らいむらいと」は74年の8月26日から10月21日までの間にレコーディングされました。
<収録曲A面>
1 あの頃
2 No.1のバラード
3 悪魔に狂って
4 恋時雨
5 週末
6 バス通り
<収録曲B面>
1 魔女の季節
2 放課後の並木道
3 アップル・パイ
4 思春期
5 吟遊詩人の唄
ここに収録されている曲はB2「放課後の並木道」を除いて、レコーディングの途中で開催された九州での「出発コンサート」でも演奏されています。
「らいむらいと」は帯が途中で変更されています。
向かって右がオリジナルの帯で、左が変更後の帯となります。
当然オリジナルの帯がついた盤の人気は高く、中古市場においても価格が高騰しています。
帯が変更になった時期ははっきりしていませんが、少なくとも77年の7月には変更となっています。(これは調べた盤の枚数が少ないためで、これより早く変更になった可能性は大いにあります)
オリジナル盤とレイトを外観から見分ける方法は帯以外に見当たりませんが、ジャケット裏面の左下にあるMADE IN JAPANに続くマルIで判断できるかも知れません。
上がレイトで下がオリジナルです。マルIのマルの輪郭がかなりハッキリと印刷されています。レイトはこの部分がかなり薄くなっています。
インサートはオリジナルもレイトも全く同じです。
ジャケットの紙質はレイトの方がしっかりとしています。
続いて送り溝について説明します。
<オリジナル盤>
ETP-72021-A 2S 5 〄4-ZW
ETP-72021-B 2S 3 〄
マト両面2S、マザー両面1、スタンパーA面5、B面3となっています。マト1Sも存在するかも知れませんが、まだ見たことはありません。
PMは74年12月のプレスを示しています。アルバムの発売日が12月20日ですから前月の11月にプレスされた盤(4-Y)が初盤ということになります。
ただし、不思議なこともあります。手持ちの盤には最初のオーナーが購入日を書き込んでいます。それによると「74年12月20日」と記されており、購入日が正しいとすると、発売日にこの盤を購入したことになります。発売日に店頭に並んだ盤の中にPM4-YとPM4-Zが混在していた可能性も否定できませんし、そもそも4-Yは存在しないのかも知れません。
4-ZWのWについては東芝の川口工場を示すという説が有力です。御殿場工場でのプレスと区別するために刻印されたものではないでしょうか。
続いて再発盤についていくつか紹介します。これ以外にも再発された可能性がありますが、こちらで確認できたものを紹介することにします。
<77年再発盤>
ETP-72021-A 2S 10 〄 7-7G9
ETP-72021-B 2S 21 〄
77年の7月にプレスされた後、9月にも追加でプレスされています。77年の夏から秋にかけて行われたツアーに伴った再発ではないかと思われます。
スタンパー番号が少し進んでいますが、オリジナル盤の発売から3年近く経っていることを考えると、思ったより進んでいないと考えた方がいいのかも知れません。
PMのGについては、オリジナル盤で見られたWと同じように川口工場でのプレスだと思われます。(K、W、Gが川口工場を示すと考えられています)
<79年再発盤>
ETP-72021-A 2S 28 〄 9-Y
ETP-72021-B 3S2 4 〄
79年11月プレスの盤です。79年の年末と言えば、伝説の武道館公演(後にライブアルバム「100万$ナイト」としてリリース)を控えており、当然ながらプロモーションに力が入っていた時期の再発でしょう。
B面のスタンパーが進んでいたこともあり、あらたにラッカーがカットされ3Sとなっています。
<雑記>
「らいむらいと」は、帯の違いで価格に大きな開きがあります。オリジナル帯の場合、中心となる価格帯は¥3500〜¥4000です。これでもかなり高い印象ですが、オリジナル帯だからといって必ずしも初盤(ファーストプレス)に出会えるとは限りません。(おそらく初盤PMは4-Yです。)そこで見本盤を買えばいいじゃないかということになるのですが、こちらの現在の相場は軽く¥10000を超えている状況です。ここ数年注視していますが、価格は下がるどころか上がり続けています。もちろんオリジナル帯に拘らなければ¥100〜¥500で入手することも可能です。